マンジャロ(Mounjaro)とゼップバウンド(Zepbound)は、いずれも有効成分「チルゼパチド」を含む注射薬で、週1回の皮下注射で使用します。両者の違いは「適応症(保険適用の対象)」のみで、成分・用量・注射器仕様は全く同一です。
- マンジャロ:2型糖尿病治療薬
- ゼップバウンド:肥満症治療薬
どちらもアメリカのEli Lilly社が製造しています。
当クリニックでは、マンジャロのみ処方しております。(ゼップバウンドのお取り扱いはありません。)
チルゼパチドの作用機序
チルゼパチドは、GLP-1受容体作動薬とGIP受容体作動薬の二重作用を持つ新しいタイプの薬剤です。
- GLP-1作用:満腹感を高め、食欲を抑制
- GIP作用:脂肪燃焼を促進し、エネルギー消費を増加
この2つの作用が組み合わさることで、従来のGLP-1受容体作動薬を超える体重減少効果が期待できます。
効果・適応
- マンジャロ:2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善し、体重減少効果も認められています。
- ゼップバウンド:肥満症患者の体重管理を目的に承認されており、臨床試験では1年で体重の15~20%減少が期待できるとされています。
ゼップバウンドの適応は、BMI 27以上で肥満に関連する健康障害を2つ以上有するか、BMI 35以上の患者が対象です。
副作用・注意点
主な副作用は以下の通りです。
- 消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、食欲減退、消化不良)
- 注射部位の反応(赤み、腫れ、痛み)
- 低血糖(頻度は少ないが、他の糖尿病治療薬と併用時は注意)
- 稀に胆石症や胆嚢炎、膵炎などのリスク
重大な副作用が疑われる場合は、速やかに医師へご相談ください。
使用方法
- 週1回、皮下注射で投与します。
- 通常は2.5mgから開始し、4週間ごとに2.5mgずつ増量しつつ、最大10mg~15mgまで増量可能です。
- 医師の指示に従い、適切な用量で継続することが重要です。
他の肥満治療薬との違い
薬剤名 | 有効成分 | 主な作用機序 | 適応症 | 特徴 |
マンジャロ | チルゼパチド | GLP-1+GIP受容体作動 | 2型糖尿病 | 強い体重減少効果もあり |
ゼップバウンド | チルゼパチド | GLP-1+GIP受容体作動 | 肥満症 | 体重減少効果が非常に高い |
ウゴービ | セマグルチド | GLP-1受容体作動 | 肥満症 | 体重減少効果あり |
サノレックス | マジンドール | 中枢性食欲抑制 | 肥満症 | 長期使用は制限される |
美容・痩身目的での適応外使用は推奨されていませんので、医師の診断のもと、適切な適応患者にのみ使用されます。
副作用や体調変化があれば、必ず担当医にご相談ください。
マンジャロ/ゼップバウンド(チルゼパチド)は、従来の治療薬を超える体重減少効果と血糖コントロール効果を持つ新しい注射薬です。適応や目的に応じて医師と相談し、健康的な体重管理・糖尿病治療の選択肢としてご活用ください。